1.アペルの超幾何方程式系E_2及びE_4の定める射影曲面の多様性は、方程式の射影微分幾何的不変量を計算することにより、次のクラスの曲面については調べることができる。 ○isothermally asymptotic surface ○cubic surface ○Roman surface of Steiner ○projectively minimal surface 非常に特徴的なことは、方程式系E_4が最大自由度3を持つisothermally asymptotic曲面を実現をする、具体的実例であることがわかったことである。 その他のクラスについては、自明でない例を持つものの、豊富な曲面を提供しないことも明らかとなった。 特に、cubic surface(3次曲面)を特徴付ける射影微分幾何的不変量がどのよにして出てくるかを解明する予定であったが、これについては出来ていない。一方、研究発表欄の論文4では、吉田正章氏と共同ですべての非特異3次曲面を解に持つ、方程式系を具体的に構成できることを示した。 2.関連する研究として、論文2はGauss超幾何方程式のシュヴァルツ写像について、これまで空白であった研究を進め、論文3は3次曲面のモジュライを実現する意化方程式系の構造を明らかにし、また、論文1はシュヴァルツ微分と意化について、既知の結果をまとめている。 3.研究課題についての今後の研究対象は、取り上げたアペル・ホルン系の射影曲面だけではなく射影曲面一般を対象にできる、高次の微分不変量をどのように定め、具体的問題に適用できるかを明らかにすることである。
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