研究概要 |
分担者中西は非圧縮流体内の渦糸の運動を記述する非線形シュレーディンガー方程式を解析し,それが相対論的場の量子論で基本的な非線形クライン・ゴルドン方程式の光速度無限大の特異極限として導出されることを示した.証明には中西自身の考案に成る集約波動分離の方法が本質的に使われた.同時にまた中西は,同じ非線形シュレーシディンガー方程式の初期値問題に対し,初期値がある意味で退化していれば,非線形項の代数的増大度に関係なく,必ず時間大域解を構成出来ることを示した.前者については現在論文作成中,また後者については発表予定である.また分担者Rossmanは,表面張力による流体表面のパターン形成の研究で重要な,平均曲率一定曲面の研究を行い,その位相型の分類を目指してモース指数の変化を研究し,その増大度の評価を与えた.同時にまた,平均曲率一定曲面の典型的な例であるWenteの輪環面と一般の定曲率曲面との指数変化の比較研究を行った. 代表者宮川は,粘性の入った非圧縮流体の方程式を全空間及び半空間において扱い,長時間経過後の解の漸近形を導き,空間の位相の違いと漸近形の違いとの関係を明かにした. 同様の結果は,解である速度場に対してのみならず,速度場に付随する渦そのものに対しても証明することが可能であるように思われる.現在その研究を継続中である.
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