非摂動くりこみ群による量子論の解析は、有効作用に対する汎関数微分方程式を如何に有効に近似して解く事ができるか、が眼目となる。時空1次元のスカラー理論である、いわゆる量子力学系では、有効作用として微分相互作用を含まない関数空間が、広いパラメタ領域で非常に良い結果を与えているが、トンネル効果の重要な領域ではこの近似が急速に悪くなる。これを改善する方法を探るために、同じ1次元系のスピン系を考察した。スピン系の基本相互作用を最近接相互作用に限り、ひとつおきのサイトのスピンを積分する方法をとると、生成される有効作用は残ったスピンに対して最近接相互作用となる。この事を連続空間の理論に読みかえると、場の微分が有効相互作用に現れるとしても、1階微分のみで表現されることになる。この方向で、1階微分の任意関数を加えた相互作用空間でのくりこみ群方程式の性質について分析しているが、未だはっきりした結論にはいたっていない。くりこみ群方程式をたてる際のスキームを最適化すると、この拡大された関数空間内で閉じる可能性があり、この場合には、量子論を解ききることが可能になる。いずれにしても、非線形の偏微分方程式の数値解析になるので、その準備を進めている。
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