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2001 年度 実績報告書

振動化学反応におけるノイズ・シンクロナイゼーションと情報伝達

研究課題

研究課題/領域番号 12874044
研究機関九州大学

研究代表者

甲斐 昌一  九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20112295)

キーワードノイズシンクロナイゼーション / 光感受性振動化学反応 / ルテニューム触媒 / BZ反応 / 情報伝達 / 脳波の引き込み / 引き込み現象 / 確率共鳴
研究概要

生体内の様々なリズムや運動は非線形化学反応によって生み出されている。とりわけリズム、すなわちマクロに発現する振動現象は、これらを構成する要素間の引き込み現象、いわゆる同期(シンクロナイゼーション)から生まれ、従って乱雑な入力があると同期化が阻害され、乱れると考えられてきた。ところが本研究によれば、ノイズ外力を加えるとある強度であればかえって同期化が促進あるいは発現され、規則正しいリズムが出現されること見出された。しかも、最適の強さのノイズを加えるとノイズなしの場合よりも同期領域の幅が大きく広がり、さらにノイズ強度を増すと今度はその同期領域が減少し始め、最終的には同期が起こらなくなる現象が観測された。そこで、そのような現象の生物系への探索・解明を行った結果、この2年間に次のような成果が得られた。
(1)空間的な引き込み(同期)ダイナミックスを明らかにするために、触媒を複数の吸着ビーズに準備・反応溶液に浸し、その間隔を変えて同期がビーズ間距離(相互作用の大きさに相当)にどの様に依存するか調べた。その結果、距離が近いほど容易に同期し遠く離れた周期の間でも同期するが、距離が遠いと近い周期でなければ同期しないことが分かった。これらの距離、周期差がノイズ強度に依存することが分かった。
(2)脳波には目に光刺激を行うと引き込み現象が起こることが知られている。そこで化学反応系で得られたノイズシンクロナイゼーションが現実に生体系に起こるか否かを、ヒトの脳に対して行った。実験手法は極めて新奇な手法で、第1視覚野で雑音と周期信号が混合されるように、右眼に周期信号、左眼に雑音を印加して脳波を測定したところ、ある最適ノイズで引き込みが最大となることが見いだされた。これはノイズによる引き込み現象としてヒト脳で世界で初めて観測されたものである。
しかしながら、これらの機構や発展の多くは未解明で今後の研究に残されている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 森敏生, 山崎秀樹, 甲斐昌一: "光刺激による脳波引き込みの空間特性"医用電子と生体工学. 39・4. 12-19 (2001)

  • [文献書誌] 森敏生, 甲斐昌一: "脳における確率共鳴現象"電子情報通信学会. J85-D-II・6(in press). (2002)

  • [文献書誌] Toshio Mori, Shoichi Kai: "Stocastic resonance in a alpha oscillators in human brain"International Journal of Bifurcation and Chaos. (in press). (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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