研究概要 |
本研究は,均一磁場(回転力)及び磁場勾配(並進力)下における生体高分子濃厚分散系の協同的な構造変化・集団挙動や凝集過程を構造学的手法を用いて研究を行い,ミクロからマクロに至る広い空間・時間領域での生体高分子分散系における磁場効果の基礎的な知見を得て,生体系の機能にたいする磁場効果とその制御,通常困難さが伴う生体高分子の結晶化の磁場制御に新たな展開を図ることを目的に実施した。今年度の研究成果は下記の通り。 1)均一磁場実験(弱磁場0.1〜1テスラ) 均一磁場条件下における各種蛋白質濃厚溶液の結晶核生成と核成長過程にたいする磁場効果を,蛋白質濃度,磁場強度,イオン強度,温度をパラメーターとして実験を行った。結晶核生成の初期過程の測定には,時分割放射光X線小角散乱を用いた。 2)均一磁場実験(強磁場1〜10テスラ) 生体超分子(各種ウイルス),各種蛋白質,生体脂質混合リポソーム・ラメラ系を対象として,一強磁場印加後の分散組織の協同的な構造変化・集団挙動(液晶相転移),濃度揺らぎ,凝集過程の測定を時分割中性子小角散乱法を用いて行った。 3)周期磁場・磁場勾配実験(磁場0.6〜1.5テスラ,磁場勾配2.4kテスラ/m〜1kテスラ/m) 周期磁場・磁場勾配条件下における,生体超分子の濃厚溶液分散系の分子配向の周期性に関して,溶液条件及び磁場強度をパラメーターとして実験を行った。測定には放射光X線・中性子小角散乱を利用した。これらの研究成果は,現在,論文として印刷中である。
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