1999年より高感度CCD撮像装置及びフォトメータを設置し光学観測を行っているが、1kR以下の弱い多重バンド構造やパッチ状タイプの大気光が観測されている。しかしながら我々が目標としている、磁気異常帯特有の発光現象は今のところ検出されていない。 天頂フォトメータによる630.0nmと557.7nmの2波長観測では、夜中過ぎの04時から06時頃にかけて630.0nmの輝度が300R程度増加して、07時頃には再び減少してもとの輝度に戻り夜明けに至る現象が夏期間に顕著に観測される。この現象はmidnight collapseと呼ばれている現象に対応していることが考えられるが、ブラジル域で頻繁に観測されることやその輝度変化が大きいことは従来の報告と異なっており、磁気異常帯に発生しやすい何らかの原因があるのかもしれない。今後これらの現象に注目しつつ観測を行っていきたい。 電波観測では、名古屋大学・太陽地球環境研究所の西野助教授と共同で4×4素子のイメージング・リオメターを設置し観測を行っている。これまでに磁気嵐時に顕著な吸収現象が数例観測されている。観測データによるとある限られた領域で顕著な吸収領域が見られることから、磁気異常帯に入射する粒子は局在化していることを示唆している。これについても今後この事実を検証していきたい。なお、チリのプンタアレナスにおいてもイメージングリオメータ観測を行う計画を現在進めている。 他方、通信総合研究所のグループと共同で日本からリアルタイムで地磁気データをモニター出来るシステムを構築し、2001年より現地に磁力計を設置し観測を開始した。これにより日本からブラジル南部宇宙観測所の地磁気データを直接見られるようになっている。
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