原子間力顕微鏡を使用して、岩石・鉱物の表面形状を精密に調べる方法について検討した。特に石英の表面形状について詳しく検討した。 1.超微小硬度計による圧痕の状況を調べるのに、表面形状のコンターを描く方法が便利であると考え、マットラブ(コンピュータ計算ソフト)を用いてコンターをカラーで表現する方法を検討した。その結果、3〜5ナノメートルの間隔で等高線を描くことができた。その結果は、超微小硬度計によるビッカース圧痕の周りで起こった遅れ破壊の状況を描き出すのに役立った。この結果は目下投稿中の論文に掲載した。 2.上記の研究の際に、結晶表面をナノスケールで平滑にするべく研磨するのが意外に困難であることに気がつき、いろいろな方法を試した。3種類のアルミナ懸濁液を利用し、徐々に細かな懸濁液を使う方法が良さそうであることがわかった。 3.点接触変形で形成された圧痕に0.1規定のフッ化水素を作用させ、化学腐食の表面形状について検討した。これについては、原子間力顕微鏡像の読み込み制度の問題と、操作上の問題が解決されず、いまだコンター図を作れていない。今後の課題としたい。 4.貝殻の裏側を原子間力顕微鏡で予察的に観察を行った。あまりにスケールが違うので、電子顕微鏡で見ているものと、原子間力顕微鏡で見ている者の対応がつかず、難航中である。レーザー顕微鏡のような、電子顕微鏡と原子間力顕微鏡の中間的な顕微鏡があれば解決するかも知れない。 5.液体観察モードようの設備を購入した。今後、観察中に乾燥するような、安定して観察ができない物体についての観察の道が開けると考える。
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