研究概要 |
1.遺伝子操作によってフルクトースの取り込み経路を新たに作り,フルクトースをエネルギー源として取り入れることにより,増殖速度や増殖能力の向上を図るための準備として,鉄酸化細菌(ATCC14119)を用いて,糖耐性実験を行った。細菌の培地に,グルコースやフルクトースなどの種々の糖を加えて生育速度を比較した結果,フルクトースの場合に糖耐性があることが分かった。具体的には,フルクトースの濃度を0.0005mol/lから徐々に濃くした培地で糖耐性をつけながら培養することで,0.006mol/lの濃度でも生育できるようになった。この際の生細胞数は10^7cells/mlである。鉄酸化細菌は糖による生育阻害があると報告されているが,今回の結果,糖耐性がある株を見出したので,次年度は耐性細菌の原因遺伝子の解析を行う。 2.実験の効率化を図るために,電気培養実験を取り入れた。この方法は,菌体生育のためのエネルギーを電気化学的に供給することにより,鉄酸化細菌を通常の数十倍の高濃度で培養できるので,糖耐性実験に適応することにより,遺伝子解析のための糖耐性株を迅速に大量に手に入れることが可態になる。電気培養実験は日常的にできるようになったが,糖を使用すると他の微生物が生育するので,次年度は装置の改良を行い,実験の効率化に役立てる。 3.鉄酸化細菌の他の特性を引き出し,異なった特性の株を糖耐性実験に供するために,鉄酸化細菌の嫌気培養実験を行った。その結果,ATCC14119には嫌気中(H_2/CO_2=4/1,2気圧)でも生育できる株があることが分かった。次年度はこの株の糖耐性実験をおこなう。
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