研究概要 |
1.MEH-PPV有機薄膜のメゾスコピック構造とニアフィールド蛍光ダイナミクス ニアフィールド2光子時間分解蛍光分光法を開発するためには,まず2光子励起にふさわしい試料の1光子での時間分解蛍光SNOMを測定し,そのメゾスコピック構造と蛍光ダイナミクスを明らかにしておく必要がある。この為に,導電性高分子MEH-PPVを用いそのスピンコート膜をクロロホルム溶液およびキシレン溶液から作製し,Ti:Sapphireレーザーの第二高調波(420nm)を励起光として時間分解蛍光SNOMによる解析を試みた。その結果,クロロホルム溶液による薄膜では環状構造が観測され,その中心部の蛍光強度は極めて弱いが,環状構造の周辺部は蛍光強度が強く,トポ像との良い対応を示した。また,蛍光ダイナミクスを場所毎に計測したところ,環状中心部に比べ周辺部の寿命が非常に短く,環状周辺部ではMEH-PPVの会合体形成による励起子の移動と消光が起こっている事が示唆された。キシレン溶液による薄膜ではこのような構造は観測されず,この構造形成は溶媒の蒸発過程に依存した2次元ガスバブルモデルで説明できた。今後,2光子励起による構造解析を行う。 2.SNOMチップの先鋭化と無電解メッキ ニアフィールド光を用いた2光子時間分解蛍光SNOMを展開するためには,SNOMチップ先端の電場増強を用いる必要がある。この為に,単一モードファイバーのtube etchingによる先鋭化と先端部のメッキを試みた。ガラスファイバーへのメッキとして無電解ニッケルメッキを試み,メッキ液の脱酸素化,ファイバー表面の活性化,およびメッキの最適条件を見いだした。今後,さらに表面を金メッキし,電場増強が可能な先鋭化SNOMファイバーチップを作製する。
|