研究概要 |
1)2光子時間分解蛍光SNOMの開発と評価 昨年度開発した先鋭化光ファイバーチップの無電解ニッケルめっきを用いて,更にその表面を金めっきする事により,表面電場増強用のチップを作製する事を試みた。このチップを用いシェアフォース法により試料-チップ間の距離制御を行なった試料として導電性共役高分子MEH-PPVを用い,2光子励起による蛍光測定を試みた。フェムト秒Ti:サファイアレーザーの基本波(820nm)を励起光に用い,偏光面をp偏光として斜照射する光学系を組み立てた。試料表面で発生した2光子励起による蛍光を透過用対物レンズを用いて集光し,分光器,MCP光電子増倍管により時間分解単一光子検出を行なった。その結果,以下に示すことが明らかとなった。 a)2光子励起によると考えられる試料からの発光が観測されるが,著しい空間分解能の改善は見られなかった。b)励起光強度に著しく依存するが,レーザー光強度を上げるとチップの金表面が加熱され,その影響が観測像に現れると共に,背景光としての2光子蛍光が干渉した。c)金めっきしたSNOMファイバーは先端部が脆く,剛性を持たせる工夫が必要である。d)検出系にピンホールを用い,また高感度なアバランシェフォトダイオードを用いる等して,分解能の改善が可能である。 2)ポリイオンコンプレックス薄膜の2光子時間分解蛍光SNOWによる研究 アニオン性のチアシアニン色素とカチオン性高分子PDDAとの相互作用によるJ-会合体薄膜を作製し,そのメゾスコピツク構造と励起状態ダイナミクスを2光子時間分解蛍光SNOMを用いて解析した。その結果,PDDAの濃度に依存して,J-会合体のメゾスコピツク構造がファイバー状から岩状に変化すると共に,ファイバー状の構造と蛍光像の相関を解析した。
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