研究概要 |
ジ-t-ブチルアセチレン(1a)と一塩化硫黄を反応させた後,反応混合物を蒸留精製すると2,3-ジ-t-ブチル-2,3-ジクロロエピスルフィド(2a)が56%の収率で得られた.本反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると,(2a)の加水分解が進行し,2,2,5,5-テトラメチル-4-オキソ-3-へキサンチオン(3a)と2,3-ジ-t-ブチルチイレン1-オキシド(4a)が37%及び10%の収率で得られた.ジ(1-アダマンチル)アセチレン(1b)に同様の反応を行うと,1,2-ジ(1-アダマンチル)-2-チオキソエタノン(3b),2,3-ジ(1-アダマンチル)チイレン1-オキシド(4b),及び1,2-ジチエット(5b)が4-33%,8-27%,3-21%の収率で得られた.これらのことより,(2a)と(5b)の生成機構及び(2)の分解機構を提案した.立体的に混み合ったジアセチレンである2,2,5,5,6,6,9,9-オクタメチルデカ-3,7-ジイン(1c)と2.2当量の一塩化硫黄の反応では,上記の反応とは異なり,4H,5H-チエピン(6)が定量的に得られることを明らかにした.
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