メゾーメゾ結合Cu(II)ポルフィリン2量体のアミニウムカチオンラジカルでに酸化することにより、二重縮環ポルフィリンを高収率で得る方法の最適化を行った。溶媒として、ヘキサフルオロベンゼンを用いることで、副反応のラジカル的な塩素化反応を抑制できることがわかり、収率78%で目的の二重縮環ポルフィリンの合成に成功した。同様な反応を対応する3量体や4量体でも、検討したが、原料の溶解性が低く、低収率におわった。 DDQとSc(OTf)_2などの組み合わせによるメゾーメゾ結合ポルフィリンの酸化反応でも同様な縮合反応を行えることを発見した。本反応はほとんど中性条件下で進行するため、副反応もなくきれいに酸化的縮環反応が進行し、亜鉛錯体でも適応可能である。得られた二重縮環ポルフィリンは、完全な平面構造で共役が広がっており、吸収スペクトルが低エネルギー側に大きくシフトすることがわかった。メゾーメゾ結合ポルフィリンアレーから縮合ポルフィリンアレーへの変換を2量体、3量体、4量体、5量体、6量体、8量体、12量体で、いずれも良好な収率で行うことに成功した。6〜12量体の完全共役ポルフィリンアレーでは、その電子遷移吸収が赤外領域にまで達しており、中性であるにもかかわらず、Born-Oppenheimer近似を破る分子であることが判明した。
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