・実験 保有するヨツモンマメゾウムシの実験個体群9系統を使い、勝ち抜き型と共倒れ型の競争様式に注目して掛け合わせ、および累代飼育実験を行った。その結果、勝ち抜き型と共倒れ型の形質の遺伝様式は、いずれの系統間の組み合わせにおいても相加的であり、また、r-選択を排除した累代飼育により、中間型の競争様式においても安定する個体群を形成できることが分かった(Takano et al. 2001)。 また、2種類のアカイロマメゾウムシにおいても、勝ち抜き型と共倒れ型の競争様式についても比較を行い、ヨツモンマメゾウムシの場合とは異なる形で、勝ち抜き型と共倒れ型の形質を具現化していることが明らかになった(Mano and Toquenaga投稿中)。 競争様式においてはこのように、昨年度の実験で得られたようなアズキゾウムシの生活史形質(発育速度、産卵数)において見られるような、heterosisやinterbreeding depressionは検出できなかった。 ・理論 実験では、マメゾウムシ個体群、あるいは群集に寄生蜂を導入して、系の安定性を調べる段階までいかなかった。そこで予測モデルとして、個体間相互作用によって生まれる時間的異質性(異時性:heterochrony)に注目した、寄主-捕食寄生者系の概念的モデルとして、broken-stick model(BSM)を提唱し、第49回日本生態学会にて発表予定である(中道・徳永2002)。
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