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昨年度までに、モデル植物シロイヌナズナの主根を材料に、成長速度と細胞体積の空間プロフィールを測定する基本的な方法を開発し、定常的な成長下にある主根皮層細胞列に関して、成長パターンが私たちの数理モデル(器官細胞数に比例する資本を有し、器官体積に依存する維持のための消費分を差し引いた残りを、細胞増殖と器官成長に投資すると仮定し、これを数学的に表現した微分方程式)とよく一致することを示した。一方内鞘細胞列では、皮層細胞列と異なり、成長データが数理モデルに適合せず、成長の停止が余剰資本の払底によらない可能性が示唆されたが、より多くの試料について検討したところ、結果の再現性に問題があることがわかった。これは成長速度データと細胞体積テータとの位置合わせの誤差に起因すると考えられたので、現在問題解決のため位置合わせの精密化に取り組んでいる。また、根を全く傷めることなく、植物体を培地から培地に移植して、成長データを持続的に取得する方法を工夫した。これにより、培地環境の変化や薬剤処理に対する成長プロフィールの応答を経時的に捉えられるようになった。今後は、とくに細胞増殖への投資と器官成長への投資との関係を解析する目的にこの方法を利用する予定である。
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