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2000 年度 実績報告書

進化における光合成色素の獲得過程を再現する試み

研究課題

研究課題/領域番号 12874116
研究機関北海道大学

研究代表者

田中 歩  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10197402)

キーワードCAO / 光合成 / 光合成色素 / 進化 / 葉緑体 / 多様化
研究概要

植物は、クロロフィルa以外に、クロロフィルb(陸上植物、緑藻,原核緑藻)やフィコビリン(ラン藻、紅藻,クリプト藻),フコキサンチン(不等毛植物,ハプト藻)等の光合成色素によって大きく分類されている。この様な多様な光合成色素を持った原核光合成生物や葉緑体の直接の起源は,フィコビリンを持ったラン藻の仲間と考えられてきた。しかし,申請者はクロロフィルb合成遺伝子を単離し、その分子系統学的解析をおこなった結果,現在の葉緑体やラン藻の共通祖先は,クロロフィルbとフィコビリンの両方の色素を持ち合わせた原核型光合成生物であることを明らかにした。このように,光合成生物の進化にとって,新しい色素の獲得や消失は重要なイベントであった。しかし,光合成色素の獲得消失過程を直接調べる方法がないため,それらの過程に関する研究は全く行われなかった。そこで申請者は,クロロフィルbを持たないラン藻に,クロロフィルb合成遺伝子CAOを導入し,クロロフィルbを合成させることによって,過去に起こった新しい色素との出会いを部分的に再現できると考えた。CAOが導入されたラン藻は、遺伝子を発現させ、クロロフィルb合成することができた。合成されたクロロフィルbの存在状態を調べるため,クロロフィル色素複合体をSDSPAGEで分離し、各バンドからクロロフィルを抽出し、HPLCで色素組成を調べた。その結果、クロロフィルbは光化学系Iに取りこまれていた。さらに、光化学系Iのクロロフィルbの機能を調べるため,蛍光スペクトルを測定した。その結果,光化学系Iのクロロフィルbは、捕捉した光エネルギーを近傍のクロロフィルaにほぼ100%の効率で伝達していることが明らかになった。進化の過程で新色素を獲得したときも,同じ出来事が起こっていると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] R.Tanaka: "Overexpression of chlorophyllidea oxygenase (CAO) enlarges the antenna size of photosystem II In Arabidopsis Thaliana"The Plant J. (in press). (2001)

  • [文献書誌] S.Satoh: "Chlorophyll b expressed in cyanobacteria functions as eight-harvesting antenna in photosystemII through flexibility of the proteins."J.Biol.Chem.. 276. 4293-4297 (2001)

  • [文献書誌] U.Oster: "How chlorophyll b is made : cloning and functinal expression of the gene encoding the key enzyme for chlorophyll b biosynthesis (CAO) from Arabidopsis theliana."The Plant J.. 21. 305-310 (2001)

  • [文献書誌] E.W.Juergen: "Photosynthetic apparatus organization and function in the wild type and a chlorophyll b less mutant of chlamydomonas reinhardtii."Planta. 211. 335-344 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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