材料分野、特に表面の分野に於いては、人工的に原子配列制御を行い、新機能表面創生を実現することが大きなターッゲットの一つとなっている。本研究の目的は材料表面原子上に電子波による人工ポテンシャルを形成し、その人工ポテンシャルに沿って所望の原子配列を作ることにある。本技術を確立することにより、人工的に機能性表面を創製することができると期待される。 原子レベルの表面ポテンシャルを形成するには、バイプリズムをセットし、基板表面原子上で原子サイズの周期ポテンシャルを形成する必要がある。さらに、出来上がった表面構造を原子レベルで観測する必要がある。そのために、本研究では、超高真空走査型顕微鏡STMの探針を電子源とし、探針直下にバイプイズムを試作し、人工表面原子創製を行う。人工表面原子創製結果はSTMによって観察する。平成12年度は、超高真空走査型顕微鏡STMの組立、立ち上げを行い、Si(lll)表面観察を行える段階にきた。STM装置システムは3室構成で、試料導入室、試料表面処理室、観察室である。観察室の真空は、超高真空を達成した。さらに、この電子波人工表面ポテンシャル形成のための、バイプリズムの設計・試作を行った。
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