研究概要 |
12年度には、ツイン制御のための応力印加装置の立ち上げ、および基礎データ取得を行った。応力によるツイン生成にはツイン間で符号の異なる弾性コンプライアンスS_<1123>を用い、応力下ではツイン間で熱力学的二次の弾性エネルギーが異なることを利用した。すなわち二次の弾性エネルギーがツイン生成の臨界エネルギー(ΔGc)を越えるとツインが生成する。ツイン生成に必要な臨界応力σcは基板方位に依存するがΔGcは依存しないため、ΔGcを測定することで任意方位におけるσc(θ,φ)を求めることができた(250-400℃)。ΔGcは温度に著しく依存しσcはα-β転移点(573℃)に近づくに連れ0に近づく。この関数をθ=60゜の基板方位を用いて測定し、二次相転移の基本式を用いてフィッティングすることで、ΔGcの温度依存性ΔGc(T)が求められた。これより各温度において任意基板方位における臨界応力が計算できた。今後波長変換素子に有利な基板方位にて、ツイン形成の実験を行っていく予定である。 12年度には周期ツイン作成のための基板構造も検討も行った。周期ツインのパターニングには応力の空間分布もしくはツインの核成長領域を制御する必要があり、これにはフォトリソグラフィ技術を利用して基板を加工する方法、印加装置に周期構造をもたせる方法が考えられる。今年度はウェットエッチング技術を用いて水晶基板を掘り込み、選択的に効力を印加する方法を採用した。これにより1mm角の領域に選択的にツインを形成することに成功し、厚さ0.33mmの基板を貫通するツインが得られた。またパターニングに適切な応力分布を得るために、有限要素法を用いた応力分布のシミュレーターも検討した。これにより来年度は適切な水晶基板のエッチング深さ、エッチング部の周期に対する比、応力印加装置の周期溝の形状,などの実験的検討を行う。
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