圧力感知粒子を用いた高乱流中の速度-圧力相関のレーザ計測を行うために、まず圧力感知塗料(Pressure Sensitive Paint)を用いた圧力分布計測システムの確立を行い、スクラムジェットエンジン内の燃焼器壁面に適用し圧力分布計測を行った。また、圧力感知塗料の基本原理を応用した酸素濃度計測を試みて燃焼器壁面の混合場計測を試みた。さらに、圧力感知塗料の良好な時間応答性を用いた時系列圧力計測を行うために、カセグレン光学系を組み込んだ計測システムの確立を試み、その適用性について調べ、計測システムの改良点について調べた。 超音速流中に後ろ向きステップを設けた燃焼器内の下流から垂直に燃料ジェットを噴射する流れ場の壁面の圧力分布計測を圧力感知塗料によって行った。本研究で用いた圧力感知塗料の圧力計測システムでは、圧力計測分解能を上げるために12bitCCDカメラを用い、励起光源として使用が簡便なLEDを用いた。色素として、S/N比の高いバソフィンルテニウムをTLCプレートあるいはアルミ酸化皮膜に吸着して測定面に取り付けた。この計測システムにより、従来の圧力センサーを用いた計測に比べて、高空間分解能計測が可能になり、ステップ下流の合体した再循環域内の圧力分布、燃料ジェット上流の弧状衝撃波の三次元的な形状や燃料ジェット周辺の馬蹄渦の形成など詳細な流れ場を明らかにすることができた。上述の流れ場の混合場を調べるために燃料ジェットとして、空気、窒素、酸素、ヘリウムを噴射して壁面濃度分布を調べ、圧力分布と比較してより詳細な流れ場を調べることができた。 さらに、衝撃波管における計測結果より、約数十kHzの時間応答性を持つ圧力感加塗料を用いて、高空間分解能を有するカセグレン光学系を用いた非定常圧力計測を試みた結果、KULITEセンサーとの比較により1kHz付近での計測精度は良好な値を得た。なお、りん光強度に対するショットノイズの影響が大きいために定量的な議論が可能な精度が得られていないため。システムの改良が必要である。
|