研究概要 |
本研究は,以下の二つの部分からなる.(1)非常に低いレイノルズ数までを含む領域でのマイクロメッシュの伝熱性能評価を行う.(2)分岐管内振動流における熱・物質拡散促進に着目し,その機構を流れの可視化・速度場計測,濃度計測,数値解析によって取り扱う.そして以上二つによってマイクロ熱交換器を構成する場合の基礎データを収集するとともに,マイクロ熱交換器としての可能な構成について検討を行う. マイクロメッシュ(担当 望月)の実験では細線直径25μmと30μmの2種類のステンレス鋼製メッシュを用いての熱伝達実験を行った.真空ポンプによって圧力と空気流量を調整されたテストチャンバー内で一枚のマイクロメッシュを通電加熱し,その温度による電気抵抗値変化をブリッジ回路によって高精度に測定した.流れをメッシュ内の内部流と見た場合の等価直径とメッシュ内平均流速で定義したRe数は10-1〜101,Kn数が0.02以下である.低Re数領域でNu数がOに漸近する様子が計測されたが,Kn数による希薄化の効果は確認することが出来なかった. 分岐管(担当 村田)の実験では,管直径と管長がそれぞれ32mmと115mmから管径比0.8,管長比0.78で分岐ごとに減少するガラス製Y字分岐管を使用した.分岐角は70度であり,全体で4世代(3分岐)を有する流路となる.作動流体(水)には直径約300μmの樹脂製粒子を混ぜ,可視化を行った.実験条件は,Re=3.4〜170,000,振動数の無次元量であるウォーマースリー数α=1.3〜78の範囲である.実験では,画像処理流速計により粒子画像間の相関から2次元速度ベクトルを求めた.また,インク注入点から出口位置までのインク到達時間を計測して物質拡散状況を調べた.分岐管の数値解析では,非構造格子有限体積法を用いて多分岐管内の3次元的な振動流を非定常問題として解析した.初年度は,実験条件に合わせた幾何学的・流動条件での解析を行い,実験結果との比較から数値解析結果の健全性を確認した.
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