カーボンナノチューブ(CNT)を用いた電界効果トランジスタの製作は、Si酸化膜上に電極を形成した後、この上にCNT分散液を滴下することで可能であることを明らかにした。CNT分散液の滴下に当たっては、事前に分散液を遠心分離にかけることにより炭素微粒子が有効に除去できることを示した。なお用いるCNTとしてはCVD法で製作したものの方がアーク放電法よりも純度が高く適している。ゲート電極としては基板裏面に電極を形成しこれをバックゲートとして用いることによりドレイン電流の制御が可能であることを示した。 ドレイン電流はゲート電圧を負の方向に増加させると増加することを明らかにした。これはCNT内部を流れる電流が正孔によって担われていることを示している。ドレイン電流を完全にピンチオフさせることはできず、なんらかのリーク電流成分が存在すること、リーク電流の原因としては多層CNTの内側CNTでの伝導、多数本CNTが束になったバンドルにおけるリーク等が考えられるが、この解明には単層のCNTを用いる必要がある。
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