研究概要 |
今年度我々が得た結果は以下のとおりである. (1)感光性ガラスを基板材料にハイアスペクト比構造のマイクロキャピラリーチップを作製できた.これは,材料/構造の面から今までにない新しいもので,DNAをはじめとした化学・生化学の分野での分析に用いることのできる電気泳動キャピラリーとして用いることができる.感光性ガラスは従来の半導体素子製造プロセスを転用することで感光が可能であり、石英ガラスやSiなどで必要であったエッチング用のレジストの必要性がなく,またHFウェットエッチングで縦長のハイアスペクト比構造が実現できる材料である。これは今後、マイクロキャピラリーチップだけでなく、MEMSやμ-TASにおけるマイクロファブリケーションの材料としてとても期待できる. (2)ポリシラザンを用いて感光性ガラス基板とカバーガラスの接着,95℃の熱処理によってシリカ膜を形成し簡単に感光性ガラスの表面平滑化・表面改質を行なった. (3)作製されたマイクロキャピラリーチップは電流-電圧特性より放熱特性に優れており,高電圧に十分耐えられることがわかった.またフルオレセインによる電気泳動よりサンプルのloading、injectionはうまく行なえた. (4)キャピラリー内に混入した気泡は電界を不均一にし、サンプルプラグの形状を乱すため、電気泳動において分離効率を下げる要因となる。この原因として、基板とカバーガラスとの密着性、電極からの電離反応により発生する空気などが考えられる。 (5)ハイアスペクト比構造の有用性としてキャピラリーターンでの分散の様子を示すことができなかった.これはstandardデザインのseparation部においてキャピラリーが並んでいるため.カバーガラスとの接着が悪く,電気泳動を行なえなかったためである.今後,接着の向上、デザインの見直しなどをおこない,改善しなければならない.
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