研究概要 |
本研究の目的は,我々の周囲に存在する膨大な数の「オブジェクト」がネットワークで相互接続されるような環境の構築に向けて,必須となる基盤技術の開発を試みることである.本研究ではこのようなネットワーク形態を「高密度ネットワーク」と呼んでいる. 高密度ネットワークにおけるルーティングプロトコルの開発 従来のアドホックネットワーク分野における研究では,無線基地局などのインフラが存在しない環境が想定されていたが,将来的な高密度ネットワーク環境においては無線基地局が複数存在し,アドホックノード内からインターネットへの接続も望まれる.そこで,複数基地局の存在下でネットワークをグループ化し(Virtual Cluster),さらにルート構築時の制御パケットの転送手法をホップ数に応じて制限するRelative Distance Routing手法を開発した.また,本手法を利用することで従来のフラッディングに基づく手法よりもトラフィックが軽減されるということをシミュレーションにより示した. センサーネットワークにおけるパケット統合機構の開発 高密度ネットワークにおいては莫大な数のセンサノードが存在することが想定される.従って,これらのセンサノードから情報を取得する場合には,従来のアドホックネットワークにおける一対一通信ではなく,多対一通信を利用する方が望ましい.そこで多対一通信プロトコルを開発した.本手法ではネットワーク内のセンサにタスクをばら撒くフェーズとルートを構築するフェーズを統合することにより,ネットワークへの負荷を軽減させる機構を開発した.また,シミュレーションにより,フラッディングに基づくルート構築手法と比較して本手法は制御パケットのオーバヘッドを軽減させられることを示した.
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