研究概要 |
本研究ではカオス2値系列を拡散符号とするスペクトル拡散技術を用いた画像伝送の研究成果をもとに,さらに画像に透かしを埋め込む方法をシミュレーションした.離散コサイン変換(DCT)を用いて画像を周波数領域に展開し,重要な情報の集中する低周波成分のDCT係数のみを伝送することとし,それぞれ2進展開した後、直流成分(あるいは低周波の交流成分も含めた低周波成分)のいくつかの下位ビットに透かし情報として乱数を掛け合わせた.これらのビットを含んだDCT係数の各ビットをいくつかのチャネルに分け,拡散系列を掛け合わせてスペクトル拡散し,チャネルを多重化して伝送した.伝送する際にはこの透かし情報を伴った下位ビットの伝送誤りがなるべく少なくなるようにより長い拡散符号を割り当てた.低周波成分に透かし情報を埋め込んでいるため,フィルタリングなどによる圧縮にも強く,視覚的に重要でなかった下位ビットに透かし情報を持たせることにより伝送後の画像の劣化が少なくて済むと思われる.伝送後の画像に対し,信号処理,幾何学的操作,結託攻撃を施してこの透かしの埋め込み方法による透かしの強度を調べた.
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