研究概要 |
雲の中で成長した雪結晶は自分の重みで落下が始まり,雲粒の中を落下していく途中で雲粒が雪結晶に付着して種々の形に成長するが,落下速度は遅いので,すぐに空間密度が高まり互いに接触する割合が高く,しかも枝の構造が機械的にからみやすいため,いくつもの結晶の合体した雪片となる.この雪片同士の衝突併合には,雪片輪郭線の複雑さや落下運動の不規則さが関与していることが報告されているが,実際に雪片同士が衝突した瞬間の映像は捉えられていない.また,雪片が複雑な運動を伴って落下する理由も十分には解明されていない.本研究では,できるだけ自然に近い状態で落下中の雪片の映像を録画するシステムを製作し,次にそれらの映像を画像処理技術を使って定量化し,降雪現象の物理的特性を定量的に解明するシステムを開発することを目的として以下の実験を行った. (I) 降雪雪片観測装置の製作 できるだけ自然現象に近い状態で落下中の雪片を観測するために4m(縦)×5m(横)×13m(高さ)の観測塔を製作した. (II) 雪片映像撮影システムの開発と観測 1.地面に対して水平方向に2台,および鉛直方向に1台のCCDカメラを設置し,降雪雪片の落下中の運動を2方向から同時に撮影した. 2.形状特徴量として,面積,伸長度および正規化慣性モーメントを求めた.落下運動の解析では,連続したフレームの粒子映像を用いて運動パターンを分類した.
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