研究概要 |
本年度に得られた主たる成果は以下の4点である. ・複数のローカルスーパバイザによってコンカレントに制御する分散制御において,いくつかのローカルスーパバイザが故障により稼働しなくなってもシステム全体の振る舞いが正常に保てるような,信頼性のある分散スーパバイザが存在するための必要十分条件を明らかにした.この条件は同時に故障するスーパイザの個数に依存した条件となっている.この条件を満たさない言語に対して,信頼性のある分散スーパバイザが存在する部分言語の計算法を提案した. ・一般にオフラインで分散スーパバイザを構成する場合には,そのための計算量が増大し,実用的には問題がある.そこで,簡単に構成できる集中型スーパバイザをオフラインで構成しておき,それをもとにオンラインで制御パターンを計算するオンライン分散スーパバイザ制御法を提案した.この手法を使えば,モバイル通信によるサブシステム間の結合の時変性にもある程度対応可能となる. ・同期合成によって構成される大規模離散事象システムにおいて,述語の分離可能性と言語の分離可能性との間の関係を明らかにし,述語の分離可能性が言語の分離可能性よりも強い概念であることを示した. ・モバイルロボットの軌道計画問題を考察した.地図情報,ロボットの状態などの情報をペトリネットにより統一的に表現し,ロボットの意識を階層的表現方法によってダイナミックに表すことができた.さらに,LLPスーパバイザと最適化手法を組み合わせることにより最適な行動命令をオンラインで選択する方法を開発した.
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