研究概要 |
東京工芸大学厚木キャンパス内に基準点と計測点を設け,既存のGPSユニット(GPSアンテナ+受信機:Leica-MC1000)を両者に設置する。ともに静止した状態において,RTK-GPS計測を行い,PDOP,基準点と計測点の距離など,種々異なる条件下でのGPS変位信号の誤差について検討し,RTK-GPS測位技術に内在するバックグラウンドノイズを評価し,計測精度の検証を行った。 次に,起振器上にGPSアンテナを設置して計測点とし,一定の振幅と振動数でGPSアンテナを正弦波加振し,ワイア式変位計による正確な変位と比較し,観測可能振幅レベル,振幅分解能,周波数分解能などの基礎資料を収集した。さらに,計測可能な固有振動数を持つ,高層建物を模擬した弾性模型(高さ1.6m,燐青銅製)を製作し,頂部にGPSユニットと加速度計を取り付け,自由振動計測および風応答観測を行った。模型の強風時のランダム応答と加速度計による加速度波形の整合性を検討し,両者から得られる減衰定数や固有振動数の整合性も検討し,強風時ランダム応答での観測可能性を検討した。 以上の実験的検証によって,GPSの観測可能振幅レベル,振幅分解能,周波数分解能等の基礎資料を整理し,実際の高層建築物での地震や風応答観測に対するRTK-GPSの観測可能性が確認された。 ついで,高さ約100メートルの鉄塔上にGPSユニットを設置し,実構造物での強風時の応答観測を実施,継続中である。同時に,日照による等の曲げ変形の計測なども行い,RTK-GPSの有効性に関する資料を得ている。
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