本研究の目的として、空間中でのガス状物質が実際どのように浮遊しているのかを解明することを目的としている。この空間中における有機物質の挙動の予測としては、ただ単に空間中で浮遊している、居住環境中の壁や天井など建築材料に吸脱着を繰り返している、ガス-粒子変換などの化学反応により異なる物質に変化している、また浮遊粒子に吸着する等がある。ここでは、ガスと粒子をモニタリング、それぞれの化学組成、あるいはそれぞれの相互作用を観察することにより、この研究の第一歩として解明されるものである。 新建材として酸化チタンを塗布した壁材が近年注目されている。これは、有機物質を壁材表面に吸着させることにより、酸化チタンと紫外線のエネルギーにより分解除去するものである。この中で、材料から発生する有機物質の知見は多く存在するが、有機物質の材料表面への吸着に関する知見が少ない。 そこで本年度は、以上のような新建材を想定して、壁表面に吸着する有機物質の吸脱着挙動について実験的に把握し、吸脱着特性を表す吸着率、脱着率及び吸着平衡係数に着目し、建材表面の形状・有機物質の種類との関係について明らかにすることとした。 実験の結果、脱着の速度を表す脱離率は表面に既に吸着している吸着量には依存せず、有機物質の種類・表面の形状(材料の種類)・表面温度に影響を受けることがわかった。また、吸着のしやすさを表す吸着率及び平衡吸着係数は、表面の形状に依存し、特に多孔質材料いわゆる表面積の大きい材料の方が大きくなることを明かとした。更に、吸脱着挙動は、有機物質が単成分か多成分系により異なり、有機物質同士の相互作用が関係しているものと示唆された。 以上より、次年度では、表面における有機有機物質の吸脱着挙動とガスと粒子の反応について検討を行う予定である。
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