教科教室型と特別教室型の学校 滑川中学校・六本木中学校の2校を対象として、生徒の行動観察調査を行い、学校環境での生徒の空間行動の実態を捉えた。調査では、集団から外れている・外されている生徒・集団帰属性が強い生徒にも注目して、以下の行動様態を調査した。 調査では、以下の3つの場合に選択される場所と行動に着目して、観察調査を行う。 ・集団に帰属するときに選ばれる場所 ・仲間集団への帰属場所 ・異集団への帰着場所 ・集団から離れるとき(集団圧力を避けるとき)に選択される場所 ・先生との接触をもつときに選択される場所 その結果、以下のことが捉えられた。 1) 間距離と時間距離:特別教室型にあっては、生徒達がそれぞれの教室で所属する生徒集団と所属しない生徒集団との間に、一定の空間をとって居場所としていることが捉えられ、これを空間距離と定義した。さらに、教科教室型では、移動によって、生徒が教室に長時間滞在することがなく、移動の時間をずらすことで、自分たちの居場所を確保している様態が捉えられた。これを時間距離と定義した。 2) 交友距離:特別教室型では、一部の生徒で、いくつかの生徒集団を短時間づつ渡り歩く行動様態が捉えられた。これも、一つの居場所占有のタイプであると考えられ、友好距離と定義した。
|