離散格子系に対する代表的な統計力学的手法であるクラスター変分法と、組織形成の記述に優れた連続体モデルに基づくPhase Field法の混成計算を試みた。本年度は、不規則相からL10規則相への変態と、不規則相からB2規則相への変態過程の計算を対象とした。 平衡状態図の計算を行った後、Phase Field法の自由エネルギーにクラスター変分法に基づくL10相とB2相の自由エネルギーを導入して、基本方程式の数値解を求めた。又、kineticsの詳細な検討を行う為に、これとは別個に経路確率法に基づく計算も行い、両者の比較検討を行った。主たる結果は以下の通りである。 (1) Phase Field法の結果は経路確率法の結果をよく再現するが、初期状態における非平衡性が強い系では不一致が大きくなる。 (2)実験で得られている内部組織の形成過程を再現するためにはヴァリアントを正確に考慮する必要がある。
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