研究課題/領域番号 |
12875119
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
後藤 孝 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (60125549)
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研究分担者 |
増本 博 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50209459)
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キーワード | 電子サイクロトロン共鳴 / プラズマ酸化 / 炭化ケイ素 / ダイヤモンド状炭素 / シリコン面 / 炭素面 / ナノシリコン粒子 / 2次イオン質量分析 |
研究概要 |
β-SiCの構造は、SiとCが規則化したダイヤモンド構造と見なすことができ、構造自体はダイヤモンドと同じ結晶構造を有している。もし、β-SiC中のSiだけを酸化によって取り除くことができれば、β-SiCをダイヤモンドに変化させることが可能であると考えられる。そこで、本研究では、β-SiCの電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマによる低温酸化を行った。O_2中、Ar-O_2中、CO-CO_2中など各種雰囲気で酸化を行った結果、CO/CO_2中では、非晶質の透明なSiO2とCの混合物が得られることが明らかになった。sp^2結合を有する通常の非晶質Cが透明であることは考えにくく、ダイヤモンドと類似のsp^3結合を有する可能性が高い。しかし、現段階では、生成する透明Cの量が極めて微量であるため、その詳細な構造や結合様式を明らかにするには至っていない。また、O_2およびAr-O_2雰囲気中では、β-SiCを500K付近の低温でも高速で酸化させることができることが明らかになった。この酸化手法は、β-SiCを次世代のパワー半導体素子を作製する際に不可欠な、ゲート絶縁膜などの酸化膜を形成するために極めて有効であることが明らかになった。さらに、(111)配向が顕著なCVDβ-SiCを酸化用試料として用いた場合には、SiCの結晶面の極性(いわゆるSi面とC面)による酸化速度の違いが顕著であり、またそれらの面の酸化の機構も異なることが明らかになってきた。これらの成果は、SiCの物性を解明するために重要であるばかりでなく、各種工業部品にCVD-SiCを耐酸化被覆する際にも重要な示唆を与えている。
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