研究課題/領域番号 |
12875138
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高田 潤 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093259)
|
研究分担者 |
桑原 秀行 (財)応用材料科学研究所, 第一研究室, 室長 (90132795)
長江 正寛 岡山大学, 環境理工学部, 日本学術振興会特別研究員
中西 真 岡山大学, 工学部, 助手 (10284085)
|
キーワード | 高耐食性材料 / Mo合金 / ナイトライド皮膜 / 強酸性環境 / 超臨界環境 / 完全耐食性 / 窒化 / ハイブリッド材料 |
研究概要 |
1.研究の背景:最近、超臨界水(臨界点の温度:374.0℃、圧力:218.3atm)を用いたダイオキシンなどの難分解性有害物質の完全分解・無害化、あるいは超臨界アルコール(メタノールの臨界点は温度:239.4℃、圧力:79.9atm)による廃プラスチックのケミカル・リサイクル、さらには沸騰濃硫酸溶液(80%硫酸の沸点:180℃)を用いた木材の分解など極限環境下反応の利用が環境問題解決への新しい技術として、社会的に非常に注目されている。しかし、この極限腐食環境下の装置材料開発は殆どなされておらず、優れた耐食性を示す新しい材料の開発が緊急の課題となっている。一方、本研究グループは、7年前よりMo合金の窒化挙動の研究を進め、極く最近の予備的研究で、Mo窒化物被覆Mo材料が高耐食性を示すことを見出した。 2.研究目的:上記の背景から、本研究は極限腐食環境下で高耐食性を示す新規Moナイトライド被覆Mo系ハイブリッド材料の開発を目指したものである。具体的には、種々の条件で窒化処理し、材料表面にMoナイトライドを形成させてハイブリッド材料を作製し、窒化物層の構成相と微細構造を明らかにし、それらの成長機構を解明した上で、様々な苛酷腐食環境下での腐食挙動と耐食性を明らかにする。 3.結果:本年度はNH_3ガス中で950〜1100℃で窒化処理した材料について検討した結果、以下のことが明らかとなった。 (1)材料表面のMo窒化物皮膜は、2または3種類の窒化物の積層膜となっている。つまり、最表面からγ-Mo_2N(fcc)+β-Mo_2N(bct)、MoN(hcp)+γ-Mo_2N(fcc)+β-Mo_2N(bct)である。 (2)TEM観察より、γ-Mo_2N層内は格子欠陥が殆ど存在しないのに対して、β-Mo_2N層内には縞構造が規則的にかつ多数存在する。これらは(100)面上で、小さな双晶(011)[011]である。 (3)これらの皮膜の成長は、窒素の固溶拡散により材料の内部へ向かって進行し、材料の寸法変化はない。 (4)いくつかの条件で窒化した材料は、沸騰濃硫酸溶液(75%溶液;175℃)中においても完全耐食性(腐食速度<0.05mm/年)を示す。(例えば、950℃、25h;MoN+γ-Mo_2N+β-Mo_2N)
|