研究概要 |
Fe-Cu合金が凝固する際の固液共存状態でのCuの移動速度を浮力,重力などを考慮した解析により最適な実験条件を算出し,それに基付き12Tの強磁場下で15%Cu-Fe合金の融解-凝固実験を行った.得られた試料の縦断面を光学顕微鏡によりCuの分布状態を観察した.磁化力差による,顕著な磁気分離効果を見出すことはできなかったが,強磁場印加によって,晶出Cuは結晶粒内にほぼ眞球に近い状態で晶出することを見出した.磁場を印加しない場合には,Cuは結晶粒界に晶出し,機械的性質を極端に悪化させると云われているが,本研究結果のように,結晶粒内にCuが分布すれば機械的性質の向上が期待できる.さらに,分布状態を微細かつ均一に分布させることが出きれば,介在物の共存を可能にしたオキサイドメタラジーの如く,Cuを含有したままでの鋼のリサクルの可能性が高まった.よって,今後の研究課題として,機械的性質の測定とCuを結晶粒内へ均一微細分散をさせる条件を把握する必要がある. Fe-Cu合金の磁化率の測定においてマトリックスと晶出物との磁化率の差が大きくないので磁力による分離効果を上げるには磁場と磁場勾配の積を大きくすると共に凝固速度の制を必要とすることが分かった.それには,一方向凝固との組み合わせによって,磁気分離効果を顕在化させ得ることが予想できるので一方向凝固装置の設計と作製を行い,強磁場下で一方向凝固実験を行ってその事実を明らかにする必要がある.
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