研究概要 |
イオン交換水中にSiC焼結体または炭素ブロックを入れ、これに150Wのマイクロ波を照射すると、水の沸騰と同時に、固-液界面で赤白色のプラズマストリーマーが連続して発生した。その発光スペクトを解析したところ、誘起体の種類に係わらず、O.H_α、H_β、H_2O^+のスペクトルが観察された。また、イオン交換水中にエタノールや1-プロパノールを50vol%混合した溶液中でマイクロ波誘起プラズマを発生させると、前述のスペクトル以外にC原子に帰属されるピークが新たに確認された。マイクロ波を30〜60min間照射後に50vol%の各種アルコルー水溶液中の化学物質をGC/MSで分析した結果、1)メタノール水溶液を用いた場合にはギ酸と1,2-エタンジオールの生成が、2)エタノール水溶液の場合にはギ酸、酢酸および1,1-ジエトキシエタンが、3)1-プロパノール水溶液の場合には酢酸、酢酸n-プロピル、プロピオン酸n-プロピルおよび1,1-ジプロポキシプロパンが、また4)2-プロパノールの場合には1-メチルエチル酢酸および3,7,11-トリメチル-2,6,10-ドデカトリエン-1-オールの生成がそれぞれ確認された。さらに、これらの生成物量はマイクロ波照射時間とともに増加することも確認した。ちなみに、エタノール水溶液を用いた場合に、マイクロ波照射30min後の1,1-ジエトキシエタンの最終収率は0.2mol%であった。 現在のところ収率は低いものの、原料に用いた有機物よりも高分子量の有機物の生成が確認されたので、マイクロ波誘起プラズマで生成した各種のラジカルが高分子量の有機物の合成に深く関与していることがわかった。
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