研究概要 |
本研究では,ゼオライトのアルカリ溶解により溶出するアルミノシリケート種を用いてメソ多孔体を合成する新規合成法を確立すること,およびその方法により得られるメソ多孔体の酸性質を評価することを目的とした。 「ゼオライトのアルカリ溶解」過程と「濾液にCTAB添加・メソ多孔体の組織化」過程を分けた「2段合成法」について検討したところ,純粋なM41Sが合成できることがわかった。アンモニア水処理法を行うと,メソ多孔体の回折線幅がやや鋭くなり,焼成後も構造が維持された。さらには,アンモニア水処理温度の最適化により,焼成後の構造の規則性が改善されることが明らかとなった。このポストシンセシスを行ったサンプルにおいて,メソ多孔体特有のN_2吸着等温線が得られ,TEM像にばhexagonal構造に特有な縞模様が確認された。また電子線回折により,MFI結晶の残存は確認されなかった。 得られたメソ多孔体の酸性質をクメンクラッキングにより測定したところ,250℃において分解生成物であるベンゼンの生成が確認された。一方テトラエトキシシラン(TEOS),アルミニウムイソプロポキシド(AIP)を用いて合成したM41Sや,非晶質シリカアルミナの場合には250℃ではクメン分解活性をほとんど示さなかった。これらのことから,ゼオライトのアルカリ溶解溶液から析出したM41Sにはゼオライトに類似の強酸性質有するアルミニウム種が存在するものと結論した。
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