研究課題/領域番号 |
12875156
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研究種目 |
萌芽的研究
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
小野寺 慶子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70202380)
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研究分担者 |
谷 吉樹 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (60026424)
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キーワード | sulfate-reducing bacteria / dibenzothiophene degradation / desulfurization |
研究概要 |
1.緒言 石油中のイオウ化合物は酸性雨の原因となる。われわれはこれまでに報告のない、生育に水素を必要としない硫酸還元菌を分離し、これらの菌について石油のモデル化合物としてのケロセンへの耐性と、難分解性へテロ環系イオウ化合物のモデル化合物としてのジベンゾチオフェンからの脱硫能の検討を行った。 2.方法及び結果 硫酸還元菌の分離は二重皿法を用いて窒素ガス下で行い、39土壌サンプルから200株が、黒いコロニーとして得られた。次にこれらのうち69株について液体培地に10%(v/v)ケロセンを加えたものと加えていないものについての生育の違いから、ケロセンに対する耐性を調べたところ、次の4つのタイプが見られた。A最大生育量がケロセンを加えた時と加えていない時で同じであるが、ケロセンを加えた時は加えていない時に比べ生育が始まるまでの期間が長い。B最大生育量がケロセンを加えた時には加えていない時より低いが、ケロセンを加えた時と加えていない時とで、生育が始まるまでの期間が同じである。C最大生育量がケロセンを加えた時には加えていない時より低く、生育が始まるまでの期間が長い。Dケロセンを加えた時は生育しない。次にこれら69株について初期濃度0.1%のジベンゾチオフェンを含む液体培地での窒素ガス下における分解を調べた。その結果、50株は分解せず、14株が10%以上の、5株が弱い分解を示した。培養液の酢酸エチル抽出物をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、10%以上の分解を示した菌の培養液にはジベンゾチオフェンの分解産物として5つのピークが見られたのに対して、弱い分解能しか持たない菌の場合にはこれら5つのうちの1つのピークしか見られなかった。また、ビフェニルに対応するピークはみられなかった。さらに10%以上の分解能を持つ菌のうち、ケロセンに耐性のあるAグループの2菌について16SRNAによる同定を試みたところ、Desulfomicrobium escambiumとDesufovibrio longreachiiに95%の相同性が認められた。 3.考察 ジベンゾチオフェン分解能を持つ硫酸還元菌は窒素ガス下での新たな脱硫系の可能性を有している。
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