大腸菌の機能ルールを、大きく3つのグループに整理して抽出した。すなわち、(1)環境からのストレスの有無に関わらず、細胞が増殖したり生命活動を維持したりするのに必要なハウスキーピングルール、(2)様々なストレスに応答し、危機を回避するために使うストレスレスポンスルール、および(3)危機回避はもはや困難となり、ひたすら耐えて生き延びるために使うサバイバルルールである。また、大腸菌の機能ルールを視覚的にも理解しやすくするため、流れ図という表現方法を採用した。このためAlgorithm Drawと呼ぶプログラムを作成し、テキストベースで入力された機能ルールをアルゴリズムの流れ図として表示するとともに、各ステップで必要とされる遺伝子情報等を流れ図の中に登録した。次に、機能ルールを統合して管理するためのプログラムVESTを構築した。VESTにおいて、仮想環境(VEnv)から読み込まれた環境情報は、Rule Selectorと呼ばれる機能ルール選択プログラムに送られ、必要とする機能ルールが呼び出されるようにした。機能ルールはソフトウェアデータベースに登録し、Rule Selectorにより必要な機能ルールがこのデータベースから選択されるようになっている。機能ルールが選択されると、その実行段階において、DNAデータベース(GeneDB)から必要な遺伝子情報が呼び出される。また、機能ルールが実行される様子は、モニター画面にアニメーションとして表示され、実行の結果は再び仮想環境へフィードバックされ、大腸菌の行動に反映されるようにした。
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