研究概要 |
「触媒カセット」の概念は抗体酵素の触媒三つ組み残基の研究をして行く過程において生まれた。我々は作製した抗体の中でそれほで低くない確率で抗体が酵素作用を発揮することを見出しているが、なかでもある種の抗体は、非常に短いアミノ酸配列で触媒三つ組み残基を構成していることが判った。その最小のアミノ酸数は僅か5つである。そこで我々はこれを「触媒カセット」と呼び、その化学的および免疫学的機能を検索している。上記のペプチド(5mer)を合成することから取りかかっており、現在、そのペプチダーゼ活性を調べているところである。基質としては人工基質のK-MCA,R-MCA,Chromozyme TRY,BapNAさらには「スーパー抗体酵素」の超可変領域-1(RSSKSLLYSNGNTYLY)およびを用いている。 さらに新しい試みとして、2)「触媒カセット」のN末およびC末を、得られているアミノ酸配列に従って両方向に10〜15残基延長する。これによって、「触媒カセット」に近い領域がどのような役割を担っているのか、あるいは全く担っていないのか、について解明する事が出来るのでこれについても現在取り組んでいる。 また、最近、我々が作製したいくつかの抗体の中で酵素活性を持つ可能性のあるものが新たに見出されており、その中にはもっと長いアミノ酸配列を使って触媒三つ組み残基を構成している場合がある。現在、長い配列と上記の様な短い配列でどのように性質に違いがあるか調べる目的で、この長い配列の合成を計画している。
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