電解質水溶液を磁気処理することによって出現する異常メモリー効果について、電気毛管曲線や交流インピーダンスの測定から以下の研究成果を得た。 (1)水銀電極の界面張力に及ぼす磁気処理と磁気処理した溶液への超音波処理の影響について、アルキルアンモニウムクロライド溶液やアルカリ金属塩化物溶液を用いて研究した。その結果、(C_2H_5)_4NC1溶液では、磁気処理した溶液にさらに超音波処理を行うと界面張力に対する磁気処理効果が消失することが明らかとなった。また、その原因を超音波処理による溶液の温度変化からさらに検討するため、磁気処理時の温度や界面張力測定時の温度の影響について研究した結果、磁気処理効果は処理や測定の際の温度が40℃以上になると消失することを見出した。 (2)磁気処理効果とイオンの水和構造変化との関係に関するさらに詳細な情報を得るため、交流インピーダンス法を用いてブロッキング電極上での二重層容量への磁気処理の影響を研究した。その結果、水銀電極の界面張力測定から磁気処理効果が認められたアルキルアンモニウムカチオンを含む溶液においては、磁気処理によって二重層容量が減少し、イオンの水和状態が構造化されることによって水和半径が増加するという現象を支持する結果が得られた。 (3)水溶液における水素結合と磁気処理効果の関係についてアルコール-水混合系を用いて研究した。その結果、アルコールを添加すると磁気処理による界面張力の増加はアルコール濃度の増加とともに認められなくなることが明らかとなり、磁気処理がイオンの周囲における水の水素結合に影響していることを見出した。
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