研究概要 |
前年度に開発したプログラムにより、置換群のマーク表・減縮表・USCI表(umit-subduced-cycle-index tables)を計算した。有限点群に対応する置換群の各表の整備をおこない、種々の組合せ論的数え上げを可能にした。置換表現および剩余類表現の減縮を詳しく検討し、アキラルな骨格に一つ置換基を置換させる場合(mono-substitution)に起こる対称性の低下を明らかにした。この方法は、不斉合成のモデルとなる過程を数理的に明確に示すものであり、今後の展開が期待できる。シクロヘキサン誘導体の立体化学はその動的な挙動(椅子型配座の揺動)を記述する数理的な方法が必要となる。すでに本研究代表者は疑点群法を提案しており、これをシクロヘキサン誘導体に適用した。とくに、三置換以上の誘導体について,そのキラリティーおよびエネルギー性(関与する配座が等価かどうかを示す指標)を論じた。
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