(1)アクチノマイシンンD処理によるアポトーシスの抑制 タバコ属種間雑種(Nicotiana suaveolens x N.tabacum)の実生由来の培養細胞を36℃条件に維持すると正常に増殖するが、これを28℃条件へ移すとアポトーシスを起こして細胞が死滅することをかつて報告した。また、この培養細胞を薄層培養し、アポトーシスを起こさせると細胞群はきわめて高い同調性も示すことも報告した。本実験では、この薄層培養系に対して、アクチノマイシンD(RNAポリメラーゼによる転写を阻害する物質)を100μg/mlの濃度で添加した。種々の検査方法でアポトーシスの進行状況を調査したところ、アポトーシスが高い程度で抑制されていることが認められ、この雑種細胞におこるアポトーシスにはmRNAの合成が必要であることが判明した。 (2)新しい交配組合せ(Nicotiana debneyi x N.tabacum)に見い出された雑種致死現象とアポトーシス 上記の交配組合せには致死現象があらわれることが知られていた。本実験では、この致死が細胞レベルではいわゆるアポトーシスであることを見い出した。すなわち、細胞および核の凝縮、核の断片化などが定性的に確認され、フローサイトメイトリーにより定量的にも確認された。
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