研究概要 |
1 長い距離の異種間形質転換を高頻度で生じさせる突然変異体取得のための菌株を育種した。Bacillus subtilis AYG2 (cysA metC trpC leuB arg1 aroG)を育種した。この菌株は異種間で顕著に組換えを起こす遺伝子を多重に持つ。 2 変異体を取得した。 B.subtilis AYG2株をN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジンで変異処理した。それらをコンピテントにし、B.amyloliquefaciens FWSの染色体DNAによるArg^+Aro^+同時形質転換体を分離した。その中から、高頻度にMet^+異種間転換を行う変異体を分離した。その変異をist1変異と名付けた。ist1株からさらにNTG変異処理し、ist2変異を取得した。 3 突然変異を特徴づけた。 ist1 ist2変異体は,異種の壁を大いに乗り越えられる際だった特徴を示した。 (1)異種菌(B.amyloliquefaciens FWS)の34kb領域,B.megateriumやB.heloduransのcysEからrpsLの17kb領域を組み換えた。特にB.haloduransの場合,DNAの相同性は63%しかなく,異種の壁を長く、大いに乗り越えられる組み換えであった。 (2)SynechocystisのDNAを509kb含む雑種枯草菌の異種菌DNA領域全体を組換えた。すなわち非常に長い距離の組換えを起した。従ってゲノム操作にも有効である。 4 遺伝子マッピングを行った。 細胞融合法,PBS1ファージ形質導入法で遺伝子領域を限定した。ist1はyfhDとmetCの間,ist2はpyrDの近傍であった。 5 総括 種の壁を大いに乗り越えられる系を構築した。組換え機構は複製を伴う相同組換えと考えられた。
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