外因性高コレステロール血症(ExHC)ラットはその起源ラットであるSD系ラットに比べて、肝臓での発現量が低い遺伝子を特徴的に有することをDifferential Display法によって発見した。その遺伝子配列を検索したところ、微生物およびヒトのOxaly-CoA decarboxy lase(OCDC)と高い相同性(86%)を示した。しかし、哺乳類においてこの酵素についての知見は得られておらず、その特徴については明らかではない。本年度はこの遺伝子の全配列のクローニングおよび発現組織について検討を行った。 全長をクローニングするために、ヒトのOCDCのOpen Reading Flame配列より、3'側および5'側から20merのオリゴヌクレオチドを合成し、それをPCRのプライマーとした。しかし、ヒトのOCDC配列と相同性のある配列は未だ得られていない。従って、新たなプライマーの検討を行うこと、およびラット肝臓cDNAライブラリーより、Differential Display法によりクローニングされた380bpの配列をプローブとしてクローニングを行うことを現在検討中である。 一方、遺伝子の組織発現特異性を調べるために、380bpの配列を用いて、ノーザンブロット法を行った。各組織での発現は肝臓で最も高く、以下順に、睾丸、腎臓、眼、脂肪組織、小腸、脾臓、脳、肺であった。膵臓と心臓では発現が認められなかった。 この遺伝子は、各組織でノーザンブロット法で発現が確認、定量できるので、それぞれの組織で何らかの重要な役割を担っていると考えられる。また、蓚酸の代謝が関わる腎臓でも肝臓の約80%程度の発現が認められたので、この遺伝子は肝腎共通に行われている代謝に関係があると思われた。
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