研究課題/領域番号 |
12876033
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
畠山 英子 東北福祉大学, 総合福祉学部, 教授 (50103180)
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研究分担者 |
山口 政人 東北福祉大学, 総合福祉学部, 助手
宮崎 良文 独立行政法人森林総合研究所, 研究室長
菊池 吉晃 東京都立保健科学大学, 教授 (50134739)
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キーワード | 味 / フレーバー / 中枢神経活動 / 自律神経活動 / 近赤外分光分析 / 抹消血圧 |
研究概要 |
脳機能解析を基盤とし、「味とフレーバーによるおいしさ」の客観評価法に関する研究を試みた。インフォームドコンセントを得たボランティアの学生から実験協力同意書に署名・捺印をもらって被験者とした。脳内応答を含め、生理応答の計測はヘルシンキ宣言に則し、医師の監督下で実施した。ヒトが感ずる「おいしさ感」の客観的評価法を追究するために、1)単一の味に対する生理応答、2)液体飲料飲用時の生理応答ならびに3)食晶のフレーバーに対する生理応答について調べた。中枢神経活動の指標には近赤外線分光分析法(NIRS)による脳酸素代謝モニタリング(酸素化ヘモグロビン濃度・脱酸素化ヘモグロビン濃度)ならびに総ヘモグロビン定量による脳血液量を、自律神経活動の指標には指式計測(フィナプレス法)による収縮期血圧・拡張期血圧ならびに脈拍を用いた。さらにSD法による主観評価チェックを実施し、傍証とした。1)20代男子20名を被験者とした五味溶液の口腔内刺激による(口に含む形で嚥下なし)各種生理応答計測の結果、希薄な濃度の五味溶液を口腔に含むことにより、前頭部は鎮静的な状態となり、脳血液量が低下する状態と味に対する好ましさの間に正の相関が認められた。本法は、非慢遅的で計測時ストレス負荷を軽滅しえ、連続的な前頭部脳血液動態計測が可能であった。2)液体飲料に対するおいしさ感について、同様に被験者を用いて計測した結果、飲料飲用時の嚥下後の前頭部脳血液量の変化のパターンにおいて飲料間の差異が認められ、おいしいと感じた場合は、脳活動の昂進が抑制されることが認められた。おいしく感じない場合は、嚥下10秒後の前頭部脳活動の有意な昂進が認められた。自律神経活動にはおいしさ感との有意な関わりは認められなかった。前頭部脳血液動態の把握は飲料のおいしさ感を評価するために有効であることが示唆された3)フレーバーの快適感について同様の手法で調べた結果、快適と感じた場合にば、前頭部の脳活動が昂進することが明らかになった。以上のことより「おいしさ感」の客観評価はNIRSにより前頭部脳血液動態の連続的把握を実施することで行い得ることが示唆された。
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