研究課題
我々は、先にマウス脳から新規の高分子量GTP結合蛋白質のcDNAを単離した。このcDNA(nLG)は、Dynamin等の高分子量G蛋白質に類似した明確なGTP結合ドメインをもつものの、それ以外の部分においては既知の蛋白質と相同性を有しない。今回、C末端に対する抗体を用いて、コードされる蛋白について解析し、以下の知見を得た。(1)マウス脳の蛋白を用いたwestern blotでは、予想される分子量(120kDa)より小さい100と90kDaの2本のバンドが観察された。(2)cDNAを導入していない293T細胞では蛋白の発現は観察されず、導入した細胞では、120,100と90kDaの3本のバンドがみられた。組織学的にはvesicle状の細胞内局在を示した。(3)2nd MetをAlaに変えた点変異体でも発現蛋白に差異はなかった。(4)N端にFLAG-tagを付加したクローンでは、120kDaの蛋白のみが発現し、vesicle状の細胞内局在は顕著に観察されなかった。以上より、この蛋白の合成過程でN端においてプロセシングが行われること、このプロセシングが特徴的な細胞内局在に寄与することが示唆された。さらに、nLGの生理機能解明の端緒を探るべく、酵母two-hybrid法によりnLGに結合する蛋白質の検索を試みた。その結果、マウス脳cDNAライブラリーより複数種の陽性クローンを単離した。その中にはESTのみで登録されている新規遺伝子以外に、GABA_A受容体αサブユニットの1サブタイプの細胞内ドメイン、並びに3量体G蛋白質シグナル伝達系の調節因子であるRGSの1サブタイプも含まれていた。
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