平成13年度は、まず1)未分化状態を維持した大量のES細胞から核を一斉に除去する条件を検討した。種々の試行錯誤の末に、サイトカラシンB存在下で遠心し、効率良く脱核する条件を確立した。更にこの脱核したES細胞は、核がない状態でも、短時間以内ならばシャーレに接着する能力を保持していることを確認した(投稿準備中)。このことは脱核したES細胞に患者の体細胞の核を導入し、その後シャーレに接着させ、未分化状態に戻し増殖させたあと、必要な細胞を分化誘導することが技術的に可能であることを示している。 2)またES細胞と体細胞の融合条件を決定するために、Neomycin耐性遺伝子を導入したトランスジェニッマウス由来の腎臓細胞(初代培養のため、無限増殖能はない)とES細胞(Neomycinで死滅)を電気融合法で融合させた。現在、種々の電気融合の条件を検討した後、Neomycin含有培養液でのコロニー形成能を解析中である。 以上当初設定した目標には到達できなかったが、今回助成いただいた研究によって、1)と2)の技術を併せることで、近い将来、受精卵を経由せずに、患者と遺伝的に同一なES細胞を容易に作製できる道を開いたと考えている。
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