研究概要 |
今年度は,すでに確立した市販のLewis X oligosaccharideを抗原としたELISA法を用いた血清抗Lewis X IgG抗体価の半定量的測定を用いて,Helicobacter pylori感染によって惹起された胃炎における抗Lewis X IgG抗体の意義についての検討を主に行った。 昨年度収集した症例とその後追加された症例について,胃内視鏡検査を施行して幽門前庭部大弯及び胃体中部大弯より採取された生検組織と静脈血を検討に用いた。分離された血清を用いて抗Lewis X IgG抗体価を測定し,生検組織における炎症細胞浸潤の程度をupdated Sydney Systemによってスコア化して両者の間の関連の有無について検討した。 好中球浸潤およびリンパ球浸潤の程度と抗Lewis X IgG抗体価の間には有意な相関はみとめられなかったが,高い抗Lewis X IgG抗体価は,胃体部に高度の炎症細胞浸潤をもつ症例においてのみみられた。Helicobacter pylori感染によって惹起された胃炎において,胃体部に多く分布する壁細胞などを標的とする抗Lewis X IgG抗体を介した自己免疫的性格が存在している可能性が示された。
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