研究課題/領域番号 |
12877061
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40125571)
|
研究分担者 |
亀尾 聡美 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40312558)
仲井 邦彦 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (00291336)
|
キーワード | メチル水銀 / 胎児期 / 脳 / 必須微量元素 / 亜鉛 / 銅 / マウス / ICP-MS |
研究概要 |
【目的】 胎児期メチル水銀曝露による神経・行動学的毒性発現に必須微量元素(亜鉛、銅、マンガンなど)の脳中の濃度変動が関与するという仮説を検証することを目的に以下の実験を行った。 【方法】 メスマウス(C57BL/6Cr)を4週間、メチル水銀含有エサ(0(コントロール)、1、5、10ppm)にて、各群2匹ずつ飼育後、雄マウスと交配し、出産後3日目まで、各群のエサで飼育を続けた。10ppmメチル水銀含有エサ飼育のマウス群では、仔マウスは出生後全て死亡した。仔マウスは、10ppmを除くそれぞれの曝露群において雌雄各8匹づつを実験に用いた。母マウス及び仔を出産後3日目に解剖し、断頭後、脳を摘出、大脳及び小脳に分割した。母マウス及び仔マウス、それぞれについて、大脳及び小脳の水銀量を、酸で灰化後、水銀還元気化法により測定した。脳内微量元素は、高純度硝酸でマイクロウエーブ灰化を行い、ICP-質量分析装置にて多元素同時分析を行った。 【実験結果】 脳中水銀量は、母マウス、仔マウス共に、メチル水銀含有エサの濃度が高くなるにつれ、高い蓄積量を示し、濃度依存的に蓄積していた。仔マウスの亜鉛量は、雄において、小脳の存在量が大脳よりも多く、また、1ppmエサで飼育した仔マウスは、コントロール群に比べ、大脳、小脳、雌雄いずれも高い亜鉛存在量を示した。脳中銅量も、1ppmエサで飼育した仔マウスは、コントロール群に比べ、大脳、小脳、雌雄いずれも高い銅存在量を示した。マンガン量は、メチル水銀曝露により、大きな変動は見られなかったが、雌雄、また、各曝露群にて、小脳が大脳よりも高い存在量を示していた。以上の結果、胎児期メチル水銀曝露により、脳中の銅・亜鉛量が変動することが確認された。
|