研究課題/領域番号 |
12877079
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 一彦 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (80191394)
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研究分担者 |
土肥 眞 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (60222155)
三崎 義堅 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60219615)
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キーワード | NKT細胞 / T細胞レセプター / 免疫制御 / レトロウィルスベクター |
研究概要 |
NKT細胞(NK1.1+T細胞)は、CD3陽はCD4/CD8が陰性のT細胞でありかつNK細胞のマーカーであるNK1.1抗原を発現していて、マウスの場合85%以上がVα14-Jα281という均一なT細胞レセプターα鎖を発現して、クラスI抗原であるCDld上に表現される糖セラミドなどを認識する。自己免疫モデルマウスや自己免疫疾患患者末梢血でNKT細胞が減少していることが指摘されており、NKT細胞が免疫制御に関与していることが指摘されている。また抗腫瘍効果も顕著だが、この免疫制御能力と抗原認識の関係は不明である。 そこで、本研究ではαβ型T細胞由来の抗原特異的T細胞レセプター遺伝子をNKT細胞に導入することでαβ型の抗原認識能力も合わせ持つNKT細胞を作りだし、治療の標的を明確化して、NKT細胞の持つ免疫制御作用を臓器或いは部位特異的に発揮させ、予測可能かつより効率の良い免疫制御療法を開発することと、NKT細胞の抗原認識の意義について解析することを目的とした。 まず抗原特異的T細胞レセプターの機能的再構成を試みた。レトロウィルスベクターpMXに卵白アルブミン(OVA)特異的T細胞から取得したT細胞レセプターα鎖β鎖cDNAを組み込み、マウス脾T細胞に感染させたところ、抗クロノタイプ抗体陽性細胞の出現とOVAに対するT細胞増殖が確認できた。次に、抗原特異的T細胞レセプターにより、部位特異的な免疫制御が可能かどうかについて、OVA誘導関節炎の系を用いて検討した。インターロイキン10を導入したOVA特異的T細胞によって関節炎が改善し、しかも全身の免疫には殆ど影響が観察されない。関節局所には末梢の10-25倍という高率なOVA特異的T細胞の集積が観察された。以上より、抗原特異的T細胞レセプターの機能的再構築と臓器特異的な免疫制御という、この研究のための手法の基盤整備に成功した。
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