研究課題/領域番号 |
12877088
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
朴沢 重成 東海大学, 医学部, 講師 (40181482)
|
研究分担者 |
岡崎 勲 東海大学, 医学部, 教授 (00051649)
|
キーワード | 膵癌 / マトリックス・メタロプロテァーゼー1 / 低分子量G蛋白 / 遺伝子転写調節 / TNF-alpha / cell motility |
研究概要 |
本年度の研究では、Rhoファミリーが膵癌細胞のMMP-1の遺伝子転写調節を行いうることを明らかにした。まずRho蛋白の特異的機能阻害剤ボツリヌスC3酵素でヒト膵癌培養細胞を処理し、TNF-alpha治療群と非治療群のMMP-1発現変化を、分泌蛋白レベル(ゼラチン・ザイモグラフィー)および遺伝子転写レベル(MMP-1の遺伝子プロモーター活性)で比較検討したが、ボツリヌスC3酵素処理によってMMP-1の発現変化は認められなかった。Rho蛋白のdominant-negative型のウイルス発現ベクターの感染によっても、同様に分泌蛋白レベルおよび遺伝子転写レベルでのMMP-1発現変化は認められなかった。したがって、膵癌培養細胞においては、TNFalphaによるMMP-1の発現亢進にRho蛋白が関与していないことが示唆された。一方、Rhoファミリーに属するRac1蛋白のdominant-negative型ウイルス発現ベクターを膵癌培養細胞に感染させたところ、TNFalphaによるMMP-1の発現亢進は、分泌蛋白レベルおよび遺伝子転写レベルの両方でほぼ完全に抑制された。さらに、I型コラーゲンをコートした8mm径poreをもつtranswellを用いて、cell motility assayを行ったところ、Rac1蛋白のdominant-negative型ウイルス発現ベクターのみが、TNFalphaによるcell motilityの亢進を抑制した。以上により、Rhoファミリーの中でRac1蛋白が、膵癌細胞におけるTNFalphaによるMMP-1の亢進を抑制することが示唆された。
|