研究課題/領域番号 |
12877095
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
松島 敏春 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20069024)
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研究分担者 |
真鍋 俊明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10113200)
中島 正光 広島大学, 医学部, 講師 (20198097)
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キーワード | 喫煙 / 好酸球性肺炎 / 喫煙による好酸球性肺炎 / 呼吸不全 |
研究概要 |
本研究で90症例を検討できた。急性好酸球性肺炎(AEP)が34症例、急性好酸球性肺炎疑い(AEP疑い)が30症例、喫煙による急性好酸球性肺炎(喫煙によるAEP)が26症例であった。経過から考えて、AEPとされた中にも喫煙によるAEPが含まれていたが、今回の検討では主治医の判断に沿い検討した。 入院時の症状について以下のような頻度となった。呼吸困難は喫煙によるAEP症例で、H-JIV度以上が34%を占め、高度の呼吸困難を呈していた。胸痛は51%に、Crackleは57%に認められた。血液検査では白血球数が14,695/μ1、好酸球は411.3/μ1、3.48%と増加を認めなかった。単球、好塩基球の増加はなかったが、好中球が82.1%と増加を示した。動脈血ガス分析では63.7mmHgと低下を示した。血清1gEは1248IU/Lと増加していた。気管支肺胞洗浄液の分析では喫煙による急性好酸球性肺炎の26症例中23症例で行われていた。経気管支肺生検は14症例で行われていた。肺胞洗浄液中の好酸球は45%と著明な増加を示し、好酸球の肺浸潤を反映していた。胸部X線所見ではび漫性の陰影を示し、外側優位の陰影は15%に認められた。カーリー線は34%に認められた。胸部CTではほとんどの症例でび漫性の陰影を認め、胸水34%、外側優位の陰影は34%、カーリー線は11%に認められた。肺機能検査では拡散能の低下を認めた。治療は主にステロイドにより行われ、短期間で軽快していた。末梢血好酸球数の経過における調査では病変の活動期に増加して、経過期に上昇し、ピークは10日前後であった。 今回の検討では急性好酸球性肺炎に喫煙が関係しており、喫煙による急性好酸球性肺炎と診断された症例が多くの施設で認められていた。症状では発熱、呼吸困難、胸痛を示し、画像検査ではび漫性陰影で、胸水を呈していることが多く、ステロイドの治療で軽快していた。肺内の好酸球を反映して、気管支肺胞洗浄液中には好酸球の増加を認めたが、これに反して、末梢血の好酸球数は低下し、軽快期に増加することがわかった。
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